こんにちは!
GP法のTenです。

今日は、「人は4つの段階で発達する。発達心理学の父、ピアジェの発達段階理論」というテーマで、話をしていきたいと思います。

前回、エリクソンの8つの発達段階説の話をしましたが、
そのエリクソンの発達段階説と並んで、世界の3大発達段階説の一つと言われている、ピアジェの発達段階説っていうのがあります。

人が赤ちゃんから成長していく段階を、4つの段階に分類して、
その段階ごとの子供の特徴とかをまとめたものなんですが、

これを知ってると、子供がどこで引っかかるのかとか、なんでそんな行動するのか?とか、
どんなふうに手助けすればよいのか?とか、
そういう事も分かるようになると思いますし、
人の理解にもつながると思います。

そもそも、ピアジェって誰?って思う人もいると思いますが、

ピアジェは、スイス出身の心理学者で、

子供の頃から天才で、10才の頃に生物学の論文を発表したり、
19歳で理学博士の博士号を取得したり、
25歳では、ジャン・ジャック・ルソー教育研究所の所長になったりってことで、
生物学、哲学、臨床心理学、教育学、児童心理学等の幅広い研究をしていたって人で、

20世紀で最も影響力の大きい心理学者って言われてたり、
ピアジェ以前とピアジェ以降で、発達心理学が変わったとか、

ピアジェ以降の発達心理学は、ピアジェの説の研究か、ピアジェが手を付けてない研究か、どっちかしか無いとかって言われるくらいに、幅広い研究をして、いろんな影響を与えて、発達心理学の父なんて呼ばれてるっていう、そんな人なんですが、

その代表的な理論に、

人は、赤ちゃんから大人になるまでに、4つの段階を経て、発達するっていう、発生的認識論っていうのがあるんですね。

前回解説した、エリクソンの発達段階説は、どちらかと言うと、親とか家族とか他人とか、自分以外の人との関わりだったり、社会的な関わりの中で発達していくっていう考え方でしたが、

このピアジェの発達段階説では、
「子どもは科学者のように実験と観察を繰り返しながら自らの「知」を構成していく」
って言っていて、
人の知能とか心理の発達は、実験と観察っていう、2つのことをする中で、発達していくって捉えて、

これを4つの段階に分類したんですね。

この4つの段階っていうのが何かって言うと、

1,感覚運動期
2,前操作期
3,具体的操作期
4,形式的操作期

の4段階で、

その段階の中で、

シェマと、同化と、調節と、均衡化っていうのを繰り返す中で発達していくんですが、

このシェマって言う言葉がちょっと難しくて、
英語ではスキーマとも言うんですが、

シェマっていうのは、認知構造、
何かを認識するときの情報というか、枠組みというか、

行為とか物そのものって言うよりも、その枠組みたいなのをシェマっていうんですね。

例えば、赤ちゃんがおっぱいを吸うって言う行為があると、
その吸うっていう行為がシェマで、
吸うっていうと、例えばジュースをストローで飲む時に吸うのも吸うだし、
うどんをススルのも、吸うですよね。

そういう、吸うっていうことの枠組みっていうか、そういうのがシェマだし、

あとは、犬っていうのは、
これが犬だよっていって、柴犬を見せたとするでしょ?
すると、
ああ、これが犬なんだって認識しますよね。

その時に、4本足で立ってる動物が犬なんだっていう枠組みで認識したとするでしょ?

すると、おっきい、ゴールデンレトリバーみたいなのを見て、

これも犬?
そう、これも犬だよ
って言うと、犬という認識の枠組みの中で、
ああ、これも犬なんだねって認識する、

それが同化で、

小さな三毛猫を見て、
ああ、これも4本足で立ってる動物だから犬かな?って思って、
これも犬?って言うと、
いや、これは猫っていうんだよ
って言うと、

ああ、4本足で立ってる動物でも、これは犬じゃなくて猫なのねって認識して、

犬っていう認識の枠組みが変わるんですよね。

これが、調節で、

じゃあ、この小さいチワワは、猫みたいに小さいからこれは犬じゃないの?
って聞くと、
いや、これも犬だよってなって、

ああ、これは犬なのねってことで、

犬っていうシェマでは同化が起きて、

猫っていうシェマでは調節が起きる、

そんな感じで、認識の枠組みが変わっていくことで、世の中の理解が広がっていく、そんな感じで発達していく、

そういう考え方です。

そして、そうやって成長していく発達段階を4つに分類してるんですが、

1つめの感覚運動期は、0才から2才位、
2つ目の前操作期は、2才~7才位
3つ目の具体的操作期は、7才~11才
4つ目の形式的操作期は、11才以降

って言う感じで

年齢にはもちろん個人差はあるけど、この順番は普遍的なもので、この順番に人は成長していくって言ってるんですね。

だから、それぞれの段階にあった接し方とか、経験のさせ方とか、そういうのがあるってことでもありますよね。

それぞれを簡単に解説していくと、

1つ目の、感覚運動期では、0~2才なので、
まだ言葉を使えないところから、触覚ですよね、
吸うとか、触るとか、なめるとか、見るとか、叩くとか、
そういう感覚を使って物事を認識しようとしていく段階で、

その中で、色んなシェマを、同化。調節を繰り返す中で獲得していって、

自分と、自分以外とを区別したりとか、
物の形を認識したりとか、
人の動きを真似たりして、発達していきます。

この時期の特徴としては、

・循環反応
・対象の永続性
・模倣行動

っていうのがあるんですが、

循環反応っていうのは、赤ちゃんとか、1才くらいの小さい子って、繰り返し同じことをして喜んだりしますよね。

例えば、こういうのを持ち上げて落とすっていうのをやると、それが楽しくなっちゃって、
何度も何度も繰り返したり、
そういう行為を繰り返す中で、例えばこの例で言えば、ものを掴んで落とすっていうシェマを獲得していく、
そういうのが循環反応ですね。

そして、対象の永続性っていうのは、
一言でいうと、いないいないばあ、です。
赤ちゃんって、いないいないばあ、ってすると喜ぶのは、
対象の永続性が獲得されてないと、見えてるものは存在するけど、見えてないものは存在しないって近くしているので、
こうやって顔を隠すと、
消滅したって思うんですが、

対象の永続性を獲得していると、見えなくなってもそこにはあるはずだって認識が生まれてるので、
あると思ってたところにやっぱり現れたってことで、喜ぶんですね。

だいたい生後6ヶ月位で獲得するって言われているこういうのが、対象の永続性です。

もう一つは、模倣行動、
だいたい生後8ヶ月ころからって言われてますが、
相手の動きとか声とかを真似する行動です。

最初はそのまま真似をするだけですが、
段々と発達してくると、
遅延模倣っていって、相手の動作や言葉を記憶して、あとから真似をするってことも出来るようになってきたり、
そういう事ができるようになってきます。

そしてもう一つが、シンボル機能
物をシンボルとして捉える能力ですが、
例えば犬の絵を見て、これは犬だって分かる様になる、そういうのがシンボル機能です。

これが、最初の時期、感覚運動期ですね。

この時期に、英才教育とか言って、何かを覚えさせようとしたりとかってするのはかえって発達を邪魔しちゃう可能性もありますし、

感覚をしっかり発達させる、遊びとかスキンシップとか、そういう関わり方が大事な時期でもあります。

そして、2つ目が、前操作期です。

これは、だいたい2才~7才で、だいたい保育園とか幼稚園から小学校に上がる頃までですね。

情報を操作することを覚え始める時期で、
言葉やイメージがだんだん使えるようになってきて、
思考、物語をと考えることが出来るようになってきますが、

まだ未熟なため、自分の視点からしかものが見れない、
自己中心性っていう特徴もあります。

自己中心性っていうのは、自分が楽しければ相手も楽しいと思うとか、

あとは、隠れんぼするときに、この位の年令の小さい子だと、
自分の目をこうやって隠して、隠れたつもりになってる子とかいると思いますが、
自分が見えなくなるから相手も見えないって認識しちゃうんですね。
そんな感じで、まだ自分の視点でしか見れないところから、
段々と、相手の目線っていうのを獲得していきます。

もう一つの特徴としては、実念論っていうのがあって、

これは、実際にあるものと、空想のものが区別できてないってことで、
例えばサンタクロースを本気で信じてるとか、
あとは、夢を見て、それが現実との違いがわからないとか、そういうのもありますよね。

もう一つ、アニミズムっていうのもあって、
これは、人形とかぬいぐるみとかも、人間と一緒で物を考えたり感じたり出来るって思い込むっていうか、
そういうことが出来るのが人間だけだよっていうシェマがまだ獲得できてない、そんな時期ってことでもありますが、
人形とかも感情を持ってるって思って、ぬいぐるみとかでごっこ遊びとかをする、そんな時期でもあります。

そして、そういう遊びの中で、自分の目線だけじゃなく、他人の視線もあるんだよってことを認識していくんですね。

ちなみにこの時期はさらに2つに分類されてて、
前半を、象徴的思考期、
後半を、直感的思考期
って分けられてます。

そして3つ目が、具体的操作期です。

これはだいたい7~11才で、小学生位ですね。

この時期になると、論理的にものを考えるって言う能力を獲得し始めます。

長さとか重さとか距離とか、そういう概念も理解できるようになってきて、

保存性の習得っていって、
例えば、幅が広くて背の低いコップから、幅が狭くて背の高いコップに水を移し替えても、

水が増えたり減ったりしないで、同じだってことを理解できるようになるのもこの時期ですし、

目に見えるものだけから、目に見えないもの、
時間の概念だったり、
空気だったり、
人の気持ちだったり、
そういう目に見えないもの、抽象的な物を理解し始める段階です。

そして、自己中心的な考えから、人との関わりの中で、
相手の気持を考えたりっていう共感力が身についていき、
人の立場や気持ちを考えて喋ったり行動したりってことが出来るようになってきますし、

その行為によって、どんな事が起きるのか?そんな事も考えれるようになってきます。

そして、最後の4つ目が、形式的操作期です。

これはだいたい11才以降ですね。

この時期から、
実際にあることだけじゃなくて、
想定した状況の中で、論理的に答えを導き出すってことが出来るようになってきます。

抽象的な思考もできるようになってきますし、
論理的な思考も出来るようになってきて、

具体的でないものでも、頭の中で思考を組み立てて、 論理的に物事を考えたり、
体系的に物事を把握して、仮説を立てて推理を行ったり、

そういうことが出来るようになってきて、
哲学的な思考とかも出来るようになってきます。

この発達段階説、結構面白くて、
子供を見るときだけじゃなくて、大人を見るときでも、
ああ、この段階の学びが足りてないよねなんて思う人もいますしね、

色んなところで使えると思うので、ちょっと頭の片隅にでも入れておくと良いかなと思います。

詳しくはyoutubeで解説してますので、こちらを見てくださいね。