みなさん、肩はどこから始まっている?と聞かれた時どう答えますか?

多分多くの方が肩の始まりは肩関節からだという認識をしているのではないでしょうか?

肩関節というのは少し専門的な言葉で言うと、肩甲上腕関節などと言います。

つまり、肩甲骨と上腕骨をつなげる間接という意味です。

そして、骨格という観点から見たとき、肩関節によって腕は肩甲骨につながり、肩甲骨は鎖骨を通して胴体につながっています。
(つまり、鎖骨でつながる以外は骨格的にはただ胴体の上に乗っかっているだけ)

例えば腕を上に上げる時などには、実際には肩関節だけでなく肩甲骨も同時に動かす事によってその動作が行われているわけです。

(もっというと、発生学的に見ると鎖骨というのは一般の骨とは違って、肩甲骨は宙ぶらりんに肋骨の上に乗っかっているだけで本来は普通に考えるよりも自由自在に動くべき骨なのです。猫の肩甲骨などをイメージしてもらえばわかると思いますが、非常に自由度の高い分部なのです。)

試しに片腕の肩甲骨を反対側の手で触って肩甲骨が動かないようにして腕を上に上げてみて下さい。

どこまで上がりましたか?

腕は水平より上には上がらないでしょう?

そうなんです、実際に腕を上に上げる時って言うのは実際には肩甲骨を上に持ち上げる事によって腕が上まで上がっているんです。

言われてみればなるほどと思う話なのですが、かなり多くの人が肩関節という言葉によるイメージからか、肩を動かす時に肩関節を動かしているという認識を持っているようです。

いや、知っていても子供の頃から聞いて育った「肩関節」という言葉のイメージから勝手に(無意識的に)肩は肩関節で動かすんだという意識が生じてしまっているようです。

そして、そのような意識と現実とのギャップによっていろんな問題が生じる事があります。例えば四十肩・五十肩等と言われるような腕を上げる或いは捻る動きをしようとすると激痛で動かせない時などです。

大抵はこのような(四十肩・五十肩等の)症状が生じるには前触れがあるものです。

その時に比較的ありがちなパターンとして、

「肩になんとなく違和感があるな、腕が上に上げにくいな」等という前触れがあった時に、
(実際には肩甲骨を動かす何れかの筋肉等に問題が出ているにも関わらず)
つい腕を(肩関節の稼動域以上に)肩関節だけで上に上げようと努力してしまったりして結果として肩関節を痛めてしまう等という事があるみたいです。

実際にはそんなに単純でもなくいろんなパターンがあるわけですが、この様な単純な(しかし根源的な)認識の違いから問題が生じてしまう事があるのです。

このような時に(実際には肩関節に炎症などが生じて痛みを起こしていても)肩甲骨の正常な動きを取り戻してやる事が、痛みを軽減し回復を促進することにつながります。

いや、それどころか肩と肩甲骨の関係を理解して肩甲骨の動きを少しイメージしてもらうだけでも痛みが直ってしまう事すらあります。

皆さんもそのような意識をもって腕を動かす事を心がけて頂ければ肩や首のコリも軽減されるのでは無いでしょうか?

(今回は肩を骨格から考えましたが、更に進んで筋・筋膜系の繋がりから肩を捉える方法もあります。肩の動きが重要なスポーツなどをされている方は骨格上の肩の関係を踏まえた上で更に筋・筋膜系の繋がりを理解するとそれだけでパフォーマンス向上になります。)