筋肉を鍛えようというときに、どのような筋肉を鍛える事を主眼にすれば良いと思いますか?

あるいは、どんな筋肉を鍛えていますか?

こういう質問をしたときに、大胸筋、広背筋、大腿四頭筋、三角筋・・・

このような目に見える筋肉を意識している人は多いのではないでしょうか?

一般的な筋肉トレーニングは、殆どがこうした「見える筋肉」を主体としています。

ですが、実際に必要なのはこれら目に見える筋肉ではなく、「見えない筋肉」をつかえるようにすることのほうが重要なのです。

最近はいろんな所でこの見えない筋肉、つまりインナーマッスルの重要性が言われています。

人体には球関節が4つ、股関節と肩関節ですが、これらの球関節は自由度が高いゆえに関節を自由に動かすのに重要な筋肉が沢山あります。
肩関節では、広背筋や三角筋にかくれて見えないところに、棘上・棘下筋、小円筋、肩甲下筋といった、いわゆるローテーターカフと呼ばれる筋肉群があります。

これらの筋肉が、関節を安定して動かす時に重要な役割をしていて、大きな筋肉、大胸筋や広背筋などが働く時に、これらの筋肉が拮抗筋として働いて、微細な動きを実現しています。

股関節でも、同じように、前部の腸腰筋や後部の大・中・小臀筋、梨状筋、双子筋、大腿方形筋などの筋肉が同じように微細な動きをするために大きな役割を持っています。

特に大腰筋などは、腰椎に付着しているために、腰椎のS字型を維持するために大きな役割を持っていて、腰部の起立筋と拮抗して骨盤を安定して操作することが可能になっています。

これらのインナーマッスルを細分化してコントロールする事が、動きの質を高め、保つために重要であるという事が最近ではスポーツの世界でも認識されてきています。

伝統的な武術などで、姿勢や動きに付いて非常に細かい要求があったりしますが、この様な視点からこの姿勢や動きの教えを見て見ると、非常に合理的にインナーマッスルがつかえるような状態を作っていることがわかり、非常に面白いです。

また、整体の視点からも、これらのインナーマッスルの機能障害が、動作の不具合などに直接繋がることから、これらの筋肉の自由度を高めることを重要視する必要があります。

これらのインナーマッスルの拘束を整体の施術などで良くしていくだけで、動きのパフォーマンスは勝手に上がってしまう事もあります。

実は昔、整体を習い始めた頃、お互いに施術をしあうために、これらの筋肉がとてもよい状態に保たれた事がありました。

その頃特に真面目に武術の稽古をしていたわけでもないのに、調子が良く、

「いったい家でどんな稽古をしてるの?」

って聞かれて、当時は理由がわからなく(だって、一人稽古なんて全然してなかったので)とても困ったことがありましたが、不思議とそのようなことが起こるものです。

これらのインナーマッスルは基本的に姿勢維持筋なので、これらを使うために、最近流行っているバランスボードやバランスボールで細かな姿勢維持を行う事が有効です。
(これは、インナーマッスルを鍛えるというよりも、それらをコントロールしている神経システムを最適化するという事だと思います。)

また、整体に施術などで筋肉の制限をなくしてからこれらの(バランスボールなどの)トレーニングを行えば、より効果的に成ると思います。