前回は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸について書きましたが、バランスとして不飽和脂肪酸を多く取ることが大事だということは分かっていただけたかなと思います。
ですが、この不飽和脂肪酸にもいくつか種類があります。
大雑把に食用でつかう油にはオメガ3系とオメガ6系とオメガ9系がありますが、このバランスがとっても大事です。
オメガ3(亜麻仁オイルやエゴマオイル)とオメガ6(普通の植物オイル)の比率でいえば、一番良いのはだいたい1対2から半々位のバランスで取ることが良いと言われています。
ですが、市販の植物油のほとんどはオメガ6系ですから、どうしてもこのバランスが崩れてオメガ6系の油のとりすぎになってしまっているのが現代人の食生活です。
(アメリカなどの欧米型の食事では1対10~40と言われています。)
オメガ6系の油は過剰に取りすぎると体内で炎症を誘発するということがいわれていて、例えばアトピーや花粉症などのアレルギーなどへの影響も言われていたり、脳内で言えば正常な神経細胞まで攻撃してしまうことからアルツハイマー患者の増加とこのオメガ6の過剰摂取は関連性があるとまで言われています。
(実際にアルツハイマーで亡くなった方と他の疾患で亡くなった同年齢の方とを比較すると、特に記憶に関係の深い海馬においてDHAの量が2分の1以下に減少していたという研究もあります。)
そしてオメガ3系の油は、人の体にとても大事な働きをしていて、
例えば、
高脂血症改善作用、
血小板凝集抑制作用、
抗アレルギー作用、
抗炎症作用、
記憶学習能力の向上、
視力の向上
等々・・・、
多くの作用があり、医療機関等でも様々な研究がされていていろいろと報告されています。
また、オメガ3系の油はDHAなどの原料にもなることから、神経細胞の成長を促し、記憶と学習に影響を与えるアセチルコリンを増やし、神経伝達物質のセロトニンを増やす働きもあると言われています。
セロトニンと言えば最近主に使われている抗うつ薬でセロトニンの再吸収を阻害しセロトニンレベルを上げることで抑うつ状態を改善させるSSRIが有名ですが、オメガ3を摂取することで副作用も無く同程度のうつ病の発症を押さえる効果があるということも統計的にわかっています。
また動物実験では実際に脳内のセロトニンレベルがオメガ3の摂取で上昇することも確認されています。
次回に続きます。