「今週は、頭痛薬をまったく飲まなかったんです」
「あれ……? そういえば、頭痛持ちになり始めてから、1回も飲まなかった週なんて今までなかったかも」
施術室でそう話しながら、ご自身でふっと目を見開いたMさん。
「痛くなったら薬を飲まないとやってられない」「天気が崩れたり気圧が変わるたびに頭が痛くなって、カバンにいつも薬を入れていないと不安」と感じることはありませんか。
施術室での対話とからだの様子
Mさんは以前から、頻繁に起きる頭痛に悩まされていました。
「痛いから飲まないとやってられない」と、日常的に頭痛薬を手放せない状態が続いていたそうです。
この週は、突然の激しい雨が降ったり、台風の影響で気圧が目まぐるしく変化したりと、頭痛持ちの方にとってはからだに負担がかかりやすいお天気が続いていました。
ところが、施術室にいらしたMさんに今週の様子を伺ってみると、思いがけない言葉が返ってきました。
「今週は、頭痛薬をまったく飲まなかったんです。自分でもよく分かっていないんですけど……」
「最近、まったく飲まない週なんてありましたか?」とお聞きすると、Mさんは少し考え込んでから、こう教えてくださいました。
「最近っていうか、頭痛持ちになり始めてから、今週が初めてくらいじゃないですかね」
「そうですよね。飲まずにいけてるって、本当にすごいことですよ」とお伝えすると、Mさんは「自分でも、今こうして口にして初めて『あ、そういえば!』って気づきました」と笑顔を見せてくださいました。
立っていただいて様子を確認すると、左足の重たさは以前より軽くなり(10段階で4くらい)、腰やお尻の緊張も落ち着いてきていました。首や肩のこりも、以前ほどしんどさを感じていなかったとのことでした。
からだで起きていたこと・安心を思い出すアプローチ
なぜ、気圧が大きく乱れるような週でも、頭痛薬を一度も飲まずに過ごすことができたのでしょうか。
気圧の変化や天気の崩れで頭が痛くなるとき、からだの中では「脳の警戒モード」が過剰に働いています。
自律神経が緊張し、無意識のうちに「頑張らなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」と力が入っていると、脳は外の環境変化(気圧や温度の急変)を危険なストレスとして敏感にキャッチしてしまいます。
その結果、首や肩、頭まわりの筋肉や血管をギュッと固めてしまい、強い頭痛の引き金が引かれてしまうのです。
でも、整体のケアを重ねて脳が「ここは安全なんだ」「そんなに力んで警戒しなくても大丈夫なんだ」と安心を思い出してくると、気圧の波に過剰に反応しなくなっていきます。
そして、もうひとつ大切なことがあります。
それは、「からだが良くなっていくとき、人はその変化にあっさり慣れてしまう」ということです。
痛みがあるときは「痛い、つらい」と強く意識しますが、痛みが引いて楽になると、人は「痛くない状態」をあまりにも自然に受け入れてしまい、良くなったことすら忘れてしまうことがよくあります。
だからこそ、Mさんのように「言われてみれば、今週は一度も薬を飲んでいなかった」と自分の言葉で変化を自覚することが、とても大きな意味を持つのです。
「あ、私のからだ、ちゃんと応えてくれているんだ」「薬がなくても大丈夫なからだに変わってきているんだ」と頭(脳)が理解すると、安心感はさらに深まり、からだが本来持っている自己調整力がしっかりと働き始めます。
施術で調整を進めていくと、首や肩まわりのコリコリした硬さがふわふわと柔らかくなり、触れたときの違和感もすっきりと落ち着いていきました。
最後に立っていただくと、「重心が下の方に来ている感じがします」と、足の裏全体でしっかりと地面を踏みしめられるようになっていました。
限界まで我慢するのをやめて、自分との信頼関係を取り戻す
痛みを薬で抑え込みながら、なんとか日常をやり過ごしてきた時間。
それは、あなたが弱かったからでも、我慢が足りなかったからでもありません。
激しい痛みに耐えながら、今日まで歩みを止めずに懸命に日常を支え続けてくれたご自身のからだに、「今まで守ってくれてありがとう」と、そっと声をかけてあげてほしいのです。
からだの回復を進めていくためには、休息はもちろんですが、日頃の水分補給やお食事も大切な土台になります。からだを維持するだけでも手のひら3枚分のタンパク質が必要ですが、今まで頑張り続けてきたからだをしっかり立て直していくなら、手のひら4枚分くらいを目安に届けてあげると、からだも安心して修復に専念できます。
もっと言えば、本当は手のひら4枚分あるといい。
一度にすべてを完璧にする必要はありません。シンプルで大丈夫です。
日々の生活の中で、できることから1つずつ、でいいんです。
お水をこまめに飲んで巡りを助けながら、やってみてくださいね。
でも、「もうこれ以上、自分をすり減らすのは終わりにしたい」「自分との信頼関係を取り戻して、これからの人生を自分の足で自分らしく歩いていきたい」と願うなら、もう一人で抱え込まなくて大丈夫です。
どんなに少しずつだとしても、その変化の積み重ねこそが、あなたがあなたらしく生きていくための確かな土台になります。
正しいことをじっくり続けていけば、こころもからだも必ず応えてくれる。
私は、そう信じています。
