「仕事のあと、何もしなくても首が痛いんです」
「腰はずいぶん楽になってきたんですけど、今度は首の痛みが気になって……」
施術室の椅子に腰かけながら、そう話してくださったCさん。
「一番つらかった場所が落ち着いてきたと思ったら、別の場所が痛み出した」「じっとしているだけでも首が重くてつらい」と感じることはありませんか。
お客さんの言葉と、対話の中で生まれた気づき
Cさんは定期的なケアを続けてくださっており、以前まで悩まされていた腰の痛みは、朝の寝起きに時々気になる程度で、普段は前のようなつらさを感じなくなっていました。
「前みたいには、つらい感じにはならないです」と話してくださるほど、腰はしっかり安定してきていました。
しかし、腰の痛みが落ち着いてきた一方で、今回は仕事終わりの首の痛みが強く現れていたのです。
「何もしなくても首が痛くて、肩甲骨のあたりもいつもより凝っている感じがします」
さらに、首から頭部にかけての緊張サインも重なっていました。
痛む場所が新しく出てくると、「また悪化してしまったのではないか」と不安になるかもしれません。
でも、お話を伺いながらからだの様子をみていくと、これは後退ではないように感じました。
からだは、一度にすべての痛みを出せるわけではありません。
一番大きな負担を抱えていた腰の緊張がほどけて安心を取り戻したことで、それまで腰の痛みの陰で我慢していた首の緊張に、からだがようやく気づけるようになったのかもしれません。
からだで起きていたこと・Ten整体院の視点
なぜ、何もしなくても首が痛むほど、強い緊張が首周りに集まってしまったのでしょうか。
日々の仕事の中で、集中して作業を続け、からだに負担をかけ続けてこられたのは、紛れもない事実です。
では、なぜそこまで首筋を固め、力を抜ききれなくなってしまっていたのでしょうか。
そのおおもとには、集中や責任感の中で働き続けていた「脳の強い警戒アラーム(防衛モード)」があります。
腰の緊張が抜けてほっと一息つけたからこそ、ずっと張りつめていた首の奥の緊張をサインとして知らせてくれたのです。
痛む首だけを無理に引っ張ったり、痛みを我慢して強い力で揉みほぐし続けたりしなくても大丈夫です。
大切なのは、頭の中で鳴りっぱなしになっている脳の警戒アラームに、「ここは安全だよ」「もう戦わなくて大丈夫」と安心を届けてあげること。
脳に芯からの安心が伝わると、張りつめていた緊張のスイッチがふっとオフになり、首や肩甲骨にかかっていた余分な力が自然と抜けていきます。
施術が終わったあと、立ち上がってからだの軽さを確かめたCさんは、「背中の肩甲骨のあたりが軽くなって、首も楽になりました」と、ほっとしたように話してくださいました。
限界まで我慢するのをやめて、自分との信頼関係を取り戻す
「今度は首が痛くなった」と、次々に届くサインに戸惑う瞬間があるかもしれません。
でも、それだけ長い間、あなたのからだは懸命にあなたを支え、守り抜いてくれていたのです。
からだが痛みを教えてくれるのは、あなたを困らせるためではなく、安心できる自分へ立ち戻ろうとする生きる力そのもの。
痛む場所にそっと手を当て、「ここまで支えてくれていたんだね」と、静かに受け止めてあげること。
その小さな対話を重ねていくことこそが、からだとの信頼関係を結び直すきっかけになります。
でも、「もうこれ以上、自分をすり減らすのは終わりにしたい」「自分との信頼関係を取り戻して、これからの人生を自分の足で自分らしく歩いていきたい」と願うなら、もう一人で抱え込まなくて大丈夫です。
どんなに少しずつだとしても、その変化の積み重ねこそが、あなたがあなたらしく生きていくための確かな土台になります。
正しいことをじっくり続けていけば、こころもからだも必ず応えてくれる。
私は、そう信じています。
