「用事が立て込んでいてなかなか予約が取れなくて、気力も湧かなくて疲れ果てていたんです」
「今日、やっと来ることができました」
施術室の扉を開け、ほっと息をつきながらそう話してくださったDさん。
「からだが重くて、予約を取る気力すら湧かない」「午後になると、足元がふわふわして雲の上を歩いているような感覚になる」と感じることはありませんか。
お客さんの言葉と、対話の中で生まれた気づき
Dさんは少し久しぶりの来院でした。日々の忙しさに追われる中で体力を消耗し、ご自身をケアする余裕さえ失いかけていたそうです。
「今日はそこまでではないですけれど、疲れてくると、午後によく足元がふわふわするんです」
「腰が痛かったり、肩がちょっと上がりにくくなったりして……」
現在、婦人科で血液検査を受けるなど、ご自身の栄養状態やからだの内側にも目を向け始めているDさん。
お話を伺いながらからだの様子をみていくと、腰の張りや肩の動かしにくさの奥に、非常に強い「脳の緊張」が隠れているように感じられました。
施術が始まると、Dさんは吸い込まれるように深い休息へと入っていかれました。
普段は常に何かを気にかけ、思考を巡らせていた頭が、ふっと重荷を下ろしたかのように静まり返っていきます。
お声をかけると、Dさんは深く眠っていたかのような、やわらかな表情で目覚められました。
立ち上がって姿勢を確かめていただくと、足元が床にしっかりと吸い付くように安定し、Dさんは驚いたように言われました。
「鼻から息を吸ったとき、すごくたくさん息が入る気がします」
からだで起きていたこと・Ten整体院の視点
なぜ、気力が湧かなくなるほど疲れ果ててしまったり、午後になると足元がふわふわと頼りなくなってしまったりするのでしょうか。
日々のやるべきことを投げ出さず、限界まで全力を尽くしてこられたのは、紛れもない事実です。
では、なぜそこまでからだを酷使し、気力が底をつくほどエネルギーを消耗してしまったのでしょうか。
そのおおもとには、集中や責任感の中で働き続けていた「脳の強い警戒アラーム(防衛モード)」があります。
常に周囲に気を配り、次々と予定をこなしているとき、脳は無意識のうちに強い緊張を保ち続けています。
頭をフル回転させ続ける時間が長引くと、脳はエネルギーを過剰に消費し、やがて「ふわふわ感」や「深い無気力」としてサインを知らせてくれるのです。
気力が湧かないのも、午後になると力が入らなくなるのも、決して怠け心ではありません。
「もうこれ以上、頭をフル回転させるのは耐えられない」「今すぐ休ませてほしい」という、脳からの切実な休息の合図だったのかもしれません。
無理をして気力だけで乗り切ろうとしたり、痛む場所だけを揉みほぐそうとしたりしなくても大丈夫です。
大切なのは、頭の中で鳴りっぱなしになっている脳の警戒アラームに、「ここは安全だよ」「もう戦わなくて大丈夫」と安心を届けてあげること。
脳に芯からの安心が伝わると、張りつめていた緊張のスイッチがふっとオフになり、からだにかかっていた余分な力が自然と抜けていきます。
呼吸が深くなり、肺の奥まで自然と空気が入るようになること。
それこそが、からだが真の充電を始めた何よりの合図です。
限界まで我慢するのをやめて、自分との信頼関係を取り戻す
「予約をする気力すら湧かなかった」と、動けなくなっていたご自身を責めてしまう必要はありません。
それほどまでに長い間、あなたのからだは限界を超えてあなたを支え、守り抜いてくれていたのです。
疲れ果てて倒れそうになる前に、立ち止まる時間を作ってあげること。
「よくここまで持ちこたえてくれたね」と、ご自身のからだをそっとねぎらってあげること。
その小さな対話と安心の積み重ねこそが、からだとの信頼関係を結び直すきっかけになります。
でも、「もうこれ以上、自分をすり減らすのは終わりにしたい」「自分との信頼関係を取り戻して、これからの人生を自分の足で自分らしく歩いていきたい」と願うなら、もう一人で抱え込まなくて大丈夫です。
どんなに少しずつだとしても、その変化の積み重ねこそが、あなたがあなたらしく生きていくための確かな土台になります。
正しいことをじっくり続けていけば、こころもからだも必ず応えてくれる。
私は、そう信じています。
