ヘルニアの謎2 -ホントのヘルニアって?

前回からの続きです。
まだ読まれていない方は、コチラ(ヘルニアの謎1)を読んでくださいね。

では、MRIを取ったり様々な検査をした結果、椎間板ヘルニアが確実に見られて、しかも椎間板ヘルニアによって引き起こされた症状であろうと診断された場合にはどうでしょうか?


そもそも、そういう人が病院に行くきっかけというのは、痛みや痺れを訴えて病院に行く場合が(当然ではありますが)多いようです。

ですが、椎間板ヘルニアによって神経が圧迫される事によってすぐに痛みや痺れとなって表れる事はありません。


あくまで椎間板ヘルニアにより神経が圧迫される事によって起こるのは、神経の圧迫による情報の遮断です。

これにより、

末端から脊髄に向う神経からの情報が遮断されて、知覚がなくなる(麻痺)という状態、

或いは、

脊髄から末端に向う神経の情報が遮断されることによる筋肉の運動の麻痺

と言うのがまず起きる現象です。

(実際に軟組織である椎間板のヘルニアによる圧迫程度で本当にこのような情報の遮断が起こるのかということに対する否定的な意見もあります。どちらかというと僕的にはこっちの意見に賛成なんですが、一般論ではないので、これに付いてはとりあえず今は置いておきます。)

そして、これによって、筋肉の働きが制限される事によって、制限されていない筋肉に高い負荷がかかり続けることによって組織を痛めたり神経系の補償作用などによって、二次的に痛みや痺れが起こるというメカニズムなのです。



ちょっと分かりにくいと思うので、例えを書きます。

例えば10本の筋肉が束になってあったとしましょう。

その中の4本が、神経系の問題から運動の指令が来ない為に働く事が出来ないとします。
そうすると、残りの6本は、4本の筋肉がしない仕事を分担して行なう事になります。
(何となく、最近の大幅なリストラをやった企業などで起きている現象と似ている気がするのは僕だけでしょうか?)

つまり、今まで10本の筋肉で分担していた仕事を、常に6本で分担して行なわなければいけなくなってしまったわけですね。
当然、今まで以上に疲れますよね。疲労もたまります。

疲労もたまり続ければ、いつかは限界に来ますよね。

そんなときに、その6本の筋肉たちは、身体に痛みや痺れとしてメッセージを送るわけです。

「いい加減にちょっと休ませてくれよぉ~!!」ってな感じですかね?

だから、入院治療などで、しばらく休みを取ると、一時的に痛みや痺れが緩和されたりするわけです。

ちなみに、手術以外で一般に病院等で行なわれる保存療法というのは、この状態を改善する為に”筋肉の強化&動きの合理化”をすることで、6本の筋肉たちを鍛え上げて今まで10本でやっていた仕事を十分に6本で行なえるようにするという事だと思ってもらって良いです。


このことを理解している医者は、ちゃんとMRIも参考にし、静的・動的検査を細かくチェックして、総合的に椎間板ヘルニアかどうかを判断するはずです。

いろんな人に聞いてみると、意外にそこまでやってる医者は少ないみたいです。
まぁ、仮にそこまでしたとしても、一般の病院では次にとるアクションは同じなわけですからしない気持ちも分かりますが・・・。

また、そこまでやっていても、通りの良い名前として椎間板ヘルニアと診断書に書く場合も多いみたいですね。
患者側としても会社などに説明する為にはそのように名前の通っている病名を望むという相互関係もあるような気がしています。
だって、筋筋膜性疼痛症候群とかいわれても普通の人は会社に説明できないですもん(^_^;))

あと、もう一つの問題点としては、痛みを訴えてやってきた患者さんに対して、痛みではなく麻痺を指標にして判断するという事も、医者と患者相互の関係として行き違いが生じる場面も多くなるわけで非常に難しい事だと思います。(そもそも、あんまり細かな説明しても聞かない人多いでしょ?)


まあ、そんなこんなな理由やら現在の医療制度の問題などのいろんな絡みから、椎間板ヘルニアと言う病名は簡単につけられてしまいます。

長くなるのでまた分けました。
続きは、椎間板ヘルニアだと確定診断されたらというお話を書こうと思います。

ヘルニアの謎3 -ホントにヘルニアだったとしたら?

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