筋肉は「縮むこと」しかできない

筋肉にはいくつかの特徴がありますが、その最大の特徴は、

筋肉は「 縮 む こ と 」しかできない

ということです。

例えば「腕を曲げる」ときには、腕の上部についている筋肉を縮めます。
そして、「腕を伸ばす」ときには、今度は腕の下部についている筋肉を縮めます。

このように縮めるしかできない筋肉は2つ(orそれ以上)でペアになっているのが基本です。

なにを当たり前な事をと思われる人も多いかもしれませんが、このことを身体のいろんな部分に当てはめて考えてみると面白いですよ。

例えば背中。

「背筋をちゃんと伸ばしなさい!!」
等と言われた時に皆さんはどんな事をしますか?

この時多分殆どの人は、背中側の筋肉を縮めようとしませんか?

ですが、猫背が習慣になってしまってる人には実はこれは非常にきつい事なのです。

だって、猫背になっているのは「 前側の筋肉 」が縮んで引っ張るから猫背になってるのに、これを緩めることをせずに「 背中側の筋肉 」を縮めたらお互いに引っ張り合っちゃうでしょ?

もう運動会の綱引き状態です。

「前引け~、後ろ引け~」って、お互いにいつまでも引っ張り合っていれば、そのうちに疲れちゃいますよね。

そうして疲れきった背中の筋肉を(マッサージなどに通ったりして)一生懸命ほぐして、

「さあ、また綱引きだ!」

ってな事で、また前と後ろの綱引きを始めちゃう。

どうですか?思い当たることはありませんか?

腰だって一緒です。

腰と言ったら下部腰椎辺りをゴリゴリと揉み解したりして一生懸命腰痛解消に励んでいる人も多いでしょうが、これも前と後ろで綱引きをしてるんです。

腰がいたい人は、一度仰向けになって自分の鼠径部(コマネチってやる場所です)をゆっくり(絶対に強くゴリゴリしてはいけませんよ。とってもデリケートな 場所ですから。)やさしく押してみてください。結構深い部分に筋肉があるので最初は解りにくいかもしれませんが、ココが非常に凝って縮んだままになってい る場合が非常に多いです。
(有名な”真向法”等が腰痛に良いのはこの周辺部分の筋肉を無理なく引き伸ばす体操だからだと思います。あれは合理的だと思いますから興味のある人は本などを見て試してみると良いかもしれないですよ。)

身体のどこか辛いところがあったときには、落ち着いてその辛いところの筋肉とペアになっている筋肉を観察してみてください。きっと(訓練していない人が自分だけでこれを自覚するのは実は非常に難しいかもしれませんが、)その筋肉は緊張したままになってますよ。

貴方自身の優しい目で自分の身体を眺めてゆっくりと「自分の体の声を聞く」事を心がけていればきっと少しずつ解る様になってきます。

とはいえ、どうしても自分でコントロール(十分に弛緩させること)できない場合もあります。これは筋肉の問題ではなく、筋肉に指令を与えている側の問題があると考えられます。
(私たちが行っているオステオパシーの手技では、この様な神経の反射異常によって筋肉などに不必要な緊張や痛みが残ってしまうと考え、神経系も含めた調整を行います。)

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