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「前回のあと、一番気になっていた左の肩甲骨の痛みが、嘘のようにすっと消えたんです」

「でも……昨日久しぶりにヨガに行ったら、夕方からまた同じように痛みがぶり返してしまって」

「そのときはすごく楽で気持ちがよかったのに、どうして戻ってきちゃったんだろうって……」

施術室に入られ、ベッドの横に腰掛けながら、少し申し訳なさそうにそう教えてくださったAさん。
前回の初めての施術から約1週間、2回目の来院でした。

長年続いていた肩甲骨や背中の強い痛みが、前回の施術のあと綺麗に消えて「えっ!」と驚くほど軽くなったそうです。
ところが、良かれと思って久しぶりに参加されたヨガ教室のあと、夕方になって再び痛みが顔を出してしまったとのことでした。

せっかく痛みが消えて喜んでいた分、「また戻ってしまった」「やっぱり時間がかかるのかな……」と、心に少し不安がよぎってしまったご様子でした。

施術室での対話とからだの様子

「痛みやつらい感覚がある間は、運動は一旦お休みしてあげるといいですよ」

Aさんのお話を伺いながら、まずそのことをお伝えしました。

痛みがふっと軽くなった直後のからだは、長い緊張からようやく解放されて、安心の芽が出たばかりのとても繊細な状態です。
自分ではどこまで動かしていいかの感覚がまだ掴みきれないため、知らないうちに無理をしてしまったり、からだを痛めてしまうことがあります。
そこに運動などの新しい刺激が加わると、からだも何が起きているのか分からなくなってしまい、混乱してしまうことがあるのです。

「時間がかかるのかな……」とポツリとこぼされたAさんに、

「『時間がかかるのかな』って頭で決めつけずに、『今日はどうかな?』って、ありのままのからだを観察してあげるといいですよ」

とお伝えしながら、ベッドに横になっていただきました。

お腹や首、お尻の奥などに触れてみると、触られた場所によって「ちょっとくすぐったい」「ここは痛い」という反応がありました。
くすぐったいと感じるのも、からだが敏感に自分を守ろうとしている防衛の反応の一つです。

施術が進むにつれて、
「さっきより首が柔らかくなっています」
「肘を押されたときの痛みがなくなって、ふわっとした感じになりました」
と、からだの緊張が自然と緩んでいきました。

最後にベッドからゆっくり起き上がり、立って感覚を確かめていただいたときのことです。

「あ、肩が軽くなりました」

「視界もクリアになって……なんだかからだがめぐっている感じがします」

「肩甲骨の痛みも、軽くなっています」

Aさんの表情に、ふっと柔らかな笑顔が戻りました。

「前回のときもお話ししましたが、ここからまた3〜4日ほどかけて、からだの中でじわじわと良い変化が育まれていきますから、ゆっくり様子を見てあげてくださいね」

からだで起きていたこと・安心を思い出すアプローチ

「せっかく痛みが消えたのに、少し動いたらぶり返してしまった」。
そんなとき、私たちはどうしても「また逆戻りしてしまった」「私のからだは良くなりにくいのかな」と自分を責めたり、落ち込んだりしがちです。

でも、痛みが再び顔を出したのは、あなたが悪いからでも、からだが後戻りしたからでもありません。
からだが「まだそこまで頑張らなくて大丈夫だよ」「いまは少し休ませてね」と、愛あるサインを出してブレーキを踏んでくれただけなのです。

長年痛みを抱えてきた真面目な方ほど、痛みが少し引くと「良くなったから動かさなきゃ」「何かプラスの運動をしなきゃ」と、足し算をしてしまいがちです。

でも、痛みが抜けたばかりのからだに必要なのは、「足し算」ではなく「引き算」です。
刺激をいったん減らし、からだが自分自身の力で立ち直っていくための時間と余白を作ってあげること。
それが、からだにとって一番の味方になります。

そしてもう一つ、施術の後にお話ししたのが、からだをつくる「材料」のことでした。

Aさんは、おすすめした食事の本を読んでくださり、
「子どもがいると、ご飯に合うおかずばかり考えて炭水化物でお腹いっぱいにしていました。からだを治す材料(タンパク質)がないと進まないんだって実感しました」
と教えてくださいました。

でも同時に、
「からだにいい〇〇も飲んでみたけど、家族が買ってくれたアミノ酸もあるし、お肉はしっかり焼けないと不安だし……新しいものを一気にやるのが苦手で、冷凍庫にたくさんあるのに手がつけられなくて」
と、あれこれ難しく考えすぎて、自分に負担をかけてしまっていました。

だからこそ、こうお伝えしました。

「シンプルで大丈夫ですよ。1つずつ、でいいんです」

「あれこれ買い足したり難しく考えなくていいんです。今お家にあるものから、できることを1つだけやってみてください。自分に負担のかからないシンプルなやり方で十分ですよ」

からだを修復するための材料を補い、余計な刺激を引いてあげること。
あれもこれもと背負い込まず、自分に優しく引き算をしていくこと。

そのシンプルな積み重ねが、脳に「もう緊張して身構えなくていいんだ」という深い安心を届けてくれます。

限界まで我慢するのをやめて、自分との信頼関係を取り戻す

痛みを抱えながらも家族のために毎日を支え、良かれと思ってからだを動かし、懸命に良くなろうとしてきたあなたのからだ。

本当に、よくここまで一緒に踏ん張ってきてくれましたね。

でも、「もうこれ以上、自分をすり減らすのは終わりにしたい」「自分との信頼関係を取り戻して、これからの人生を自分の足で自分らしく歩いていきたい」と願うなら、もう一人で抱え込まなくて大丈夫です。

どんなに少しずつだとしても、その変化の積み重ねこそが、あなたがあなたらしく生きていくための確かな土台になります。

正しいことをじっくり続けていけば、こころもからだも必ず応えてくれる。
私は、そう信じています。




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