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「すごく楽になりました。これで一回区切りにして、またどうしても辛くなったら来ますね」

施術の後、笑顔でお会計をされながら、そうおっしゃる方がいらっしゃいます。

良くなった実感があってこその前向きな言葉ですし、そう言っていただけるのは本当に嬉しいことです。

でも、私はいつも、少しだけ心配な気持ちを込めてこうお伝えしています。

「どうしても辛くなってからだと、実はちょっと遅いんです」

施術室での対話とからだの様子

先日来院されたAさんは、教育の現場でお仕事をされている女性です。

夏休みを利用して集中的に施術を受けに来てくださり、最初は重たく固まっていた首の張りも、回を重ねるごとにすっきりと軽くなっていきました。

施術の合間に、Aさんが嬉しそうに話してくださったことがあります。

「普段、無意識のうちに肩にぎゅっと力が入っちゃっていることに、自分で気づけるようになったんです。気づいたら、意識してふっと肩を動かしてみたりして」

これは、ものすごく大きな一歩です。

自分のからだの声に耳を澄ませて、「あ、今力が入っているな」と気づけるセンサーが働いている証拠だからです。

そんな良い変化を感じていたからこそ、Aさんは「またどうしても辛くなったら……」とおっしゃいました。

「夏休みが終わると、また怒涛の毎日が始まりますよね。学校の現場って、本当に気も遣うし、やることが山積みで大変だと思います。

だからこそ、限界まで我慢して倒れ込むように来るのではなくて、月に1回でも、日常から少し離れてからだをニュートラルに戻してあげる時間を作ってほしいんです」

私は、そんな思いをお伝えしました。

からだで起きていたこと・安心を思い出すアプローチ

なぜ、「どうしても辛くなってから」だと遠回りになってしまうのでしょうか。

からだが「辛い」と強いサインを出しているとき、脳はすでに限界まで警戒のアラートを鳴らし続けています。

責任感が強く、周りのために頑張る人ほど、ちょっとした違和感や疲れには蓋をしてしまいます。
「まだ動けるから」「私さえ頑張れば」と、無意識のうちに警戒のアクセルを踏み込み続けてしまうのです。

そして、いよいよ動けなくなったとき。
それは、からだが「もうこれ以上は無理!」と、強制終了の非常ブレーキを踏んだ状態です。

ゼロやマイナス10まで落ちてしまった状態から元に戻すには、時間もエネルギーもたくさん必要になります。

でも、まだ少し余白があるうちに、
「今月もよく頑張ってくれたね」とからだを労わってあげる。

定期的に安全な場所に身を置いて、こわばりをほどいてあげると、脳は「ここは安心なんだ」「もう警戒し続けなくていいんだ」という感覚を、確かな記憶としてからだに刻んでいきます。

落ちきる前に受け止めるからこそ、引きずる時間が短くなり、調子の良い波を長く保てるようになるのです。

特に、先生のように誰かを支えたり、社会で大きな役割を担っている方ほど、ご自身が元気で軽やかでいることが、周りへの一番大きな安心と影響力になります。

自分を後回しにせず整えることは、決してわがままや贅沢ではありません。

限界まで我慢するのをやめて、自分との信頼関係を取り戻す

調子が良くなったときこそ、その「軽やかな感覚」を当たり前の基準にしていくチャンスです。

限界まで耐えてから倒れ込むように駆け込むのではなく、
「今日もちゃんと息ができているかな」
「肩の力が抜けているかな」
と、自分のからだを一番に気遣ってあげること。

それは、「辛くなったらどうにかする」という後回しの関係から、
「今日も大切にするね」という、自分との確かな信頼関係を結び直していくプロセスです。

忙しい日々の中でも自分を見失わずに、軽やかに歩み続けるためのお守りになります。

でも、「もうこれ以上、自分をすり減らすのは終わりにしたい」「自分との信頼関係を取り戻して、これからの人生を自分の足で自分らしく歩いていきたい」と願うなら、もう一人で抱え込まなくて大丈夫です。

どんなに少しずつだとしても、その変化の積み重ねこそが、あなたがあなたらしく生きていくための確かな土台になります。

正しいことをじっくり続けていけば、こころもからだも必ず応えてくれる。
私は、そう信じています。




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