「気になることがあると、そればっかり考えて落ち込んじゃうんです。でも、そこから持ち直すのが、早くなってきました」
先日、施術に来られたAさんが、少しほっとした声でそう話してくれました。
前はどうだったのか聞いてみると、
「どうしようどうしようって、ずーっとなっていたのが……」と。
そして、こう続けてくれました。
「良くも悪くも、あんまり考えなくなって。最近、時間が経つのがすごく早いんです」
施術室での対話とおからだの様子
この日、Aさんのお話をひとつずつ聞いていくと、症状はまだいくつかありました。
ホットフラッシュは、結構ある。
右腕は、上げると痛みが少しある。
胃が重い日も、少し増えた。
症状だけを数えたら、まだいろいろあるように見えるかもしれません。
でも、そのあとに続いた言葉が、とても印象的でした。
「右腕は、まだ痛みはあるけど、あまり気にならないです」
左の首すじから来る頭痛も、痛くなることはあるそうです。
ただ、通院前はほぼ毎日のように飲んでいたお薬を、今は飲まない日が続いている。
肩こりも、「だいぶ減りました」と。
スマホを見る時間を減らしているせいかも、と話してくれました。
症状は、ゼロになったわけではありません。
でも、症状との距離が、前とは変わってきている。
私は、これをとても大きな変化だと思っています。
「ゼロかどうか」ではなく「安心へ立ち戻る早さ」でみる
良くなると聞くと、痛みが消えること、不安がなくなること、二度とぶり返さないこと。
そんなイメージを持つのは、自然なことだと思います。
ただ、こころとからだが変わっていく途中には、ゼロになる前に、先にやってくる変化があるんです。
私たちの脳には、危険を知らせる「警報装置」のような働きがあります。
痛みや不安は、その警報が鳴っている状態。
良くなっていく途中でまず変わるのは、警報が鳴る回数よりも、鳴ったあとに「もう大丈夫」と鎮まるまでの早さです。
- 痛くなっても、楽になるのが早い。
- 落ち込んでも、引きずらずに持ち直すのが早い。
- 気になっていたことを、いつの間にか考えなくなっている。
どれも、日常の中にそっと溶け込むような、小さく小さく現れてくる変化です。
だから、自分ではなかなか気づけないこともあるかもしれません。
でも、その小さな変化こそが、脳の安心力が少しずつ育っているときの確かなサインです。
この日の施術でも、首の横の痛みが10から3くらいへ落ち着き、腕を上げても痛みが消え、首の重さもふっと軽くなりました。
脳が「もう大丈夫」と判断できると、ずっと続いていた緊張はほどけていきます。
まとめ:自分のからだと仲直りするために
今、残っている症状があっても、「まだ治っていない」と自分を責めてしまう前に、ひとつだけみてあげてほしいことがあります。
前より、落ち込んだり痛んだりするのを「引きずる時間」が短くなってない?
たとえ症状が出ても、
そこからふっと安心できる自分へ立ち戻るのが、早くなっている。
ゼロかどうかではなくて、その「安心へ立ち戻る早さ」でみる。
それだけで、「私、ぜんぜん変わってない」と思っていた毎日が、「あれ、ちょっと変わってるかも」に変わるかもしれません。
その小さな変化が、あなたが自分との信頼関係を築き直していく、はじまりになります。
けれど、「もうこれ以上、自分をすり減らすのは終わりにしたい」「自分との信頼関係を取り戻して、これからの人生を自分の足で自分らしく歩いていきたい」と願うなら、もう一人で抱え込まなくて大丈夫です。
どんなに少しずつだとしても、その変化の積み重ねこそが、あなたがあなたらしく生きていくための確かな土台になります。
正しいことをじっくり続けていけば、こころもからだも必ず応えてくれる。
私は、そう信じています。

