「ガラッと変わったわけではないですけど、ここ数日は、やりたいことにちょっとだけでも手をつけられるようになったんです」
施術室の椅子に腰かけながら、そう話してくださったAさん。
「先にやらなきゃいけないことがあるのに、ついダラダラ過ごしてしまう」「忙しくなると、いろんなことがぐるぐる絡まってパニックになってしまう」と感じることはありませんか。
お客さんの言葉と、対話の中で生まれた気づき
Aさんは前回の施術を振り返りながら、日々の小さな変化を言葉にしてくださいました。
「明確に劇的に変わったわけではないけれど、前との違いとして、やりたいことに少しだけでも手をつけられる日が増えてきました」
さらに、食生活についての対話の中でも、興味深い気づきを話してくださいました。
今までは「からだにいいものを食べなきゃ」「こうせねばならない」と強い意識でご自身を律していたそうなのですが、最近は「ちょっと緩めてみようかな」と、食べたいものを少し口にしてみる実験をされているとのことでした。
「やらなきゃ、でやるよりは、少し緩めた部分ができてきたのかなって思います」
「誘惑に負けているだけかも」とAさんは笑っていらっしゃいましたが、それは決して後退ではありません。
「やらねば」という強い力みを手放し、一度緩めてみても、またちゃんと自分を保てる。その振り幅を、ご自身の感覚で確かめ始めている証拠だからです。
ただ、Aさんの中には一つの不安もありました。
「前みたいにすごく忙しくなったときに、また同じようにギャーッとなって崩れてしまうんじゃないか」
何かに追われると、頭の中で様々な出来事がぐるぐると絡まり合って、抜け出せなくなってしまう。その絡まり感の外にポンと出られるような状態になりたい、と話してくださいました。
からだで起きていたこと・Ten整体院の視点
なぜ、忙しくなると物事がぐるぐると絡まり合ってパニックになってしまったり、逆に「やらねば」と自分を厳しく縛りつけてしまったりするのでしょうか。
日頃から、責任感を持って限界まで物事をこなそうと頑張ってこられたのは、紛れもない事実です。
では、なぜそこまでからだを追い込み、「やらねば」と張りつめさせなければならなかったのでしょうか。
そのおおもとには、「完璧にこなさなければ大変なことになる」という、脳の強い警戒アラーム(防衛モード)の存在があります。
脳が警戒モードに入りっぱなしになっていると、首や肩、背中の筋肉は常に戦闘態勢のように固まり、視野も狭くなってしまいます。すると、目の前の些細な出来事までもが大きな脅威に感じられ、頭の中で絡まり合って身動きが取れなくなってしまうのです。
「やらねば」と自分を縛りつけていたのも、脳があなたを守ろうとして必死に張り巡らせていた防衛策でした。
だからこそ、気合でパニックを抑え込もうとしたり、力づくでリラックスしようとしたりする必要はありません。
Ten整体院では、からだの奥にある無意識の力みをそっとほどき、脳に「ここは安全だよ」「もう戦わなくて大丈夫」という安心を届けていきます。
脳の警戒スイッチがふっとオフになると、ガチガチだった「やらねば」の枠が自然と緩み、「ちょっとやってみようかな」「少し休んでも大丈夫」という、やわらかな余白がこころとからだに戻ってくるのです。
限界まで我慢するのをやめて、自分との信頼関係を取り戻す
「劇的な変化ではないから」と、ご自身の小さな前進を見落としてしまいそうになる瞬間があるかもしれません。
でも、感覚が麻痺するほど走り続けてくれたご自身のからだに、「今まで守ってくれてありがとう」と、そっと声をかけてあげてほしいのです。
「やらねば」を少し手放して、やりたいことに指先ひとつ触れられたこと。それは、からだが安心を思い出し始めた、何より確かな一歩です。
でも、「もうこれ以上、自分をすり減らすのは終わりにしたい」「自分との信頼関係を取り戻して、これからの人生を自分の足で自分らしく歩いていきたい」と願うなら、もう一人で抱え込まなくて大丈夫です。
どんなに少しずつだとしても、その変化の積み重ねこそが、あなたがあなたらしく生きていくための確かな土台になります。
正しいことをじっくり続けていけば、こころもからだも必ず応えてくれる。
私は、そう信じています。
